職場でできる!SDGs取り組み~ハラスメント防止~

ハラスメントとは、さまざまな場面でのいじめや嫌がらせのことです。
40種類以上もあるといわれ、行った側がどう思っているのかは関係なく、相手が不快な感情を抱けばハラスメントになります。

厚生労働省の「令和元年度個別労働紛争制度の施行状況」によると、総合労働相談件数は 118万8,340件 で、12年連続で 100万件 を超えています。
その中で、民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全てで、「いじめ・嫌がらせ」がトップとなっています。

ハラスメントを放置すると、職場の環境悪化やモチベーション低下などにつながり、働きがいのある職場づくりが難しくなります。
そのため、ハラスメントへの対策は、ディーセント・ワークの推進という観点からも必要なのです。

今回は、パワーハラスメントについて、2020年に6月に施行された改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)をご紹介します。

【目次】

改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)

  1. パワハラ防止のために事業主が講ずべき措置
  2. パワハラの対象となる条件
  3. 代表的なパワハラの6つの分類

改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)

パワハラ防止法は、パワハラの基準を法律で定め、職場における具体的な防止措置を企業に義務化することを目的に作られました。

大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から施行されます。

パワハラ防止のために事業主が講ずべき措置

具体的なパワハラの防止措置として、次の3つの義務が記されています。

  • 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
  • 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

パワハラの対象となる条件

パワハラ防止法の対象となるのは、次の3つの条件をすべて満たすハラスメント行為です。
客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で⾏われる適正な業務指⽰や指導については、該当しません。

  1. 優越的な関係を背景とした⾔動
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

代表的なパワハラの6つの分類

パワハラ防止法では「職場のパワーハラスメント」を6つに分類し、代表的なパワハラ行為として定めています。

身体的な攻撃:暴行や傷害など
  • 殴打や足蹴りをする
  • 髪をひっぱる
  • ものを投げつける
精神的な攻撃:脅迫や名誉毀損、侮辱、ひどい暴言など
  • 相手の人格を否定するような言動
  • 侮辱的な言動
  • 業務の遂行に関する内容を、長時間にわたり必要以上に激しく叱責する(何度もくり返す)
  • 他人のいる場所での威圧的な叱責をくり返し行う
  • 本人以外の人間が見ることができるメールなどでの罵倒
人間関係からの切り離し:隔離や仲間はずし、無視など
  • 意に沿わない労働者を仕事から外し、長時間別室へ隔離する
  • 自宅待機や自宅研修を強制する
  • 集団で無視し、職場内で孤立させる
  • 職場の親睦会などに特定の労働者を呼ばない
過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
  • 本来の業務に直接関係がない作業を、長時間にわたり肉体的苦痛をともなう過酷な環境下で行わせる
  • 必要な研修などを行わないまま、対応できないレベルの仕事をさせ、完了できなかったことに対して厳しく叱責する
  • 業務と関係のない私的な雑用などを強制的に行わせる
過小な要求:道理に反して、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
  • 労働者を退職させる目的で、誰でもできるような簡単な業務を行わせる
  • 気に入らない労働者に、嫌がらせ目的で仕事を与えない
個の侵害:私的なことに過度に立ち入ること
  • 職場以外での継続的な監視や私物の写真撮影
  • 人情報を本人の同意を得ずにほかの労働者に暴露する
  • 有給休暇の取得理由に口をはさみ理由次第で却下する

パワハラ防止法に違反した場合の罰則ですが、2020年6月1日の施行時点では、罰則は設けられていません。
しかし、厚生労働大臣が必要だと認めた場合、厚生労働大臣による助言・指導および勧告の対象となり、勧告に従わない企業名が公表される場合もあります。

今回は、パワハラ防止法についてご紹介しましたが、パワハラに限らず、従業員1人ひとりが安心して働ける職場づくりのため、ハラスメントの予防・解決に向けた取り組みをしていきましょう。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

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